2月25日 オルファクトグラム


むかし岡嶋二人、いま井上夢人さん著、オルファクトグラムです。(ものすっごい書き間違えしそう)
文庫版になっていたので、思わず上巻だけ手に取ったんですが――

スゴイ、です。

以前、ちょっと話題になった時、『通常よりも嗅覚の優れた主人公の小説』ということだけで読まなかったんですが、いや、私が間違ってました。
読まず嫌いなだけだった模様です。
私の想像力を大きく超越してました。

あー、けれど、一つだけ言い訳をさせてもらうと、
普通に考えてみて、ニオイ、を文章化できるでしょうか?

私は無理だと思ったんです。
『よっぽど隔絶した言語感覚を持っていない限り上手くいかないだろうし、たぶん、ニオイの専門用語とかが多発する、読み難い小説なんだろうなあ』と予測したんです。

専門用語というのは、そりゃあ正確ではあるんでしょうが、どうも内実を表さないというか、今一歩伝わり難いもんです。
そんなものの羅列で出来た文章は、まるで生々しさの無い、病院的な文章になることでしょう。

ところが、です、この本ではそうした専門用語が、まるで出ません。
少なくとも、主人公の側から使うこと一度として無かったです。

一般人である主人公が、自分の言葉で、自分なりの表現として『ニオイ』を語っています。

また、このニオイの表現がまた秀逸というか、『こう来たかのか』と驚きました。
ここでは詳しく書きませんが、もの凄く説得力で『優れすぎた嗅覚』を表現してます。
この表現がとても明確なので、主人公の感じる世界がどのようなものであり、いかに異なっているかが理解できるのです。

いや、まあ、けれど、先ほどからニオイ、ニオイと連呼していますが、この小説の中心は、それとは一歩外れたところにあるのかもしれません。
『他人を理解すること』もしくは『一人一人別個な世界を持っていること』が主題なのかも。

普段は感じ取りにくいこのことを、読了後、私はすっと、自然に理解できていました。




2月24日 ユージニア(ぼかしながらもネタバレあり)


恩田陸さま最新刊です。

面白かった、です。
独白、というかインタビュー形式での本だったので、「とっつきにくそう・読みにくい」と感じたんですが、その内にスラスラと、どんどん『謎』に引き込まれていましたし。
最初にあった「ただひたすらに人の長話を聞いてるみたいだなあ」という忌避感も、章が進むごとに、この本の『味』として自然に楽しめるようになりました……


ただ、ですね……
ただ、
ラストが!(涙

いや、こういう構成で、目指してるものも何となく分かってはいるんですが……
一言でいえば『藪の中』。
読み終わった現在、ものっすごい座りが悪いというか、「誰か強引にでもいいから推理してくれェ!!」と叫びたくなりました。
結局、あの部屋で何があったんじゃあああ!!! と七転八倒。
また、中途半端に真相が推理できそうだから性質が悪いんです、ホント。

ぼややんと全体的に、「こうではないか」というのは分かるんです。けれど、その細部が不明というか、『そう思っていること』すらも本当なのかどうか立証不能というか……

あ゛ー、気になる!
「あの人は、結局なんでアレをしたんだ」という伏線、それが結局『本当の真相』に繋がるものだとは思うんですが、『そっから先は自由に!』と言わんばかりの終わり方なので、想像と空想ばかりが膨らみます。

普通の推理小説でいうところの結末部分、それがスッパリと消えてるような印象です。
どれだけ推理を積み上げてても、キチンと「誰々が犯人だ!」と指摘してないので、どんなどんでん返しもアリ。なにか一つ間違えば、全部ひっくり返ってしまいそうな不安定感があります。

―ーいや、それでも、面白いんですけどね。間違いなく。


えーと、内容に少しばかり触れますと、
戦後しばらく経ったある日、とある名家で大量殺人事件が起きます。
方法は毒。
犯人はすでに捕まり、解決した事件ではあるんですが、当時から「なにか納得のいかない」解決でした。
10年後に、この事件を題材にした本が出されベストセラーになるものの、それすらも『現在』では風化し、もはや過去の彼方。
そうした背景の中、再び事件関係者にインタビューが行われます。

少し書きましたが、この『インタビュー方式』というのがクセモノです。あくまで『本人がそう思ったこと』を喋るので、例の『地の文で嘘をついてはいけない』が適応されません。つまり、立脚点となるべき『客観的な事実』が、空中浮遊楼閣です。


とにかく、この本を楽しむのには「犯人はいったい誰だろう」とか「真相は何だろう」とか考えてはいけません。
ゾクリと背筋が寒くなる描写、思わず「確かに」と呟いてしまうような『ものの感じ方』、それぞれの人生の機微の味わい、想像力を喚起させる文章を、とにかく純粋に読むのが一番である、と思います。

1mmでも「本当は何があったんだろう」とか考えてはいけません。想像も駄目です。推理なんてもってのほか。
とりあえず、睡眠不足になること間違いなしです!(体験者の言)



2月22日 ふと思うこと(戯言オンリー、真に受けないでください)


宗教、それも世界の三大宗教である仏教、イスラム教、キリスト教、また、その他の宗教でも、それぞれ『神様を信じよう』『みんなを救おう』という点において、そう大差なく、類似してると思います。(詳しくないので間違っているかも)

ただ、『その結果として表に表れるもの』はかなりの差があるように見えます。

仏教で、十字軍遠征のような、恐ろしいほどに盲目的な侵略行為は無かったように記憶してますし、―――なにせ、「大人は汚れてるから失敗したんだ」とか言って、
5万人の少年少女を十字軍として送り込んだ愚かしい過去が(むろん、大失敗しました)――

そして、キリスト教で敵対していた神や人物を聖人として味方に加える、なんて作業は絶対しないでしょうし、イスラム教で派手に大声を出すゴスペル的なことも行わないことでしょう。

つまり、原点は似たようなものなのに、何故か外面は水と油と言えるほどの違いがあるのです。

なぜ、なんでしょうか。


一言ではきっといえないことだし、その答えもまた無数にはあることでしょうが(地理的要因やら歴史的要因やら)。

ただ、私が風呂場で呑気に考え付いたことは、
これは、宗教+民族的特質=
という公式で出されたんじゃなかろうか、ってものです。

もともとは似たようなものが、『その民族の特殊性』に歪められ、現在の形になっているのではないか、と考えたのです。

そう仮定してみると……

キリスト教+白人=侵略的?(でも、侵略した後は寛容になる)
キリスト教+黒人=ダンス的!(歌って踊って体感する)
イスラム教+イスラム人=商人的(ルールを破ったものには聖戦を!)
仏教+アジア人=ウンチク的(悠久の時間、それはつまり…以下削除)

かな?

こういう特徴付けは思想・思考的に危険だったりするんですが、なかなか面白かったです。
「イスラム圏とキリスト圏の戦いは、『こんなん公平な取引とちゃうわ!』ってちゃぶ台返ししたイスラム側と、『え? だってまだ侵略も占領もしてないよ? 君たちに優しくしてるじゃん?』って白人キリスト側との感覚のズレが大きいのもあるのかなあ〜」とか。
その横で踊ってる黒人キリスト教やらウンチクを垂れてる仏教がいるんじゃないか、とか。

宗教を擬人化して、その上で歴史を捉え直したら、意外と面白いのかもしれません。(えらく冒涜的なのかも)




2月18日 ハトを保護?


オランダのある農夫が、猛禽類からハトを守るため、
ピンクやら緑に彩色したそうです。

……えーと、ハ、ハトへの被害は、確かに減ったそうです。
よ、良かった、んでしょうか?
何かが間違ってる気が、かなりします。

『空の色に溶け込むため』に白色をしてるハト、その白をキャンバスに絵の具をぶちまけるとは……なんというか、保護色とか、そこらへんの概念とは真逆です。自然構造への挑戦ですね。
「アンタらそんな色じゃ駄目じゃ! この色に塗り直せ!」みたいな。

きっと鷹の、人間より八倍も良いと言われてる目には、『ピンク色のハト』を食用とは見なされなかった、ってことなんでしょう。
空高くから見下ろして、「うわ、あのハト不味そう」とか判断したんでしょうかねえ。

まあ、人間だって
ピンク色のフライドチキンなんて、確かに食べたいとは思えないんですが。
色にもよるでしょうが、いかにも『生焼け』って印象の、『血のしたたる風味のフライドチキン』なんて、それが外面だけであっても食べたくないです。


ともあれ、この農夫の人に、色々言いたいことはあるんですが(鳥が好きだという割に、猛禽類の食事は考えてないのかなあ、とか)、ひとつだけ気になったことを。

ハトを彩色するのに水性絵の具を使い、それで「自然環境にも優しい」とか言うのは止めましょう。

ものにもよりますが、油性=有害で、水性=無害とは限らないのです。
特に安い、日本の学校とかに使われてる水性絵の具なんかは
人体に悪影響を及ぼします

これはオランダの出来事ですから、安全基準等は違ってるでしょう。ですが、それでも『完全に無害』とは言い切れないことです。

そこら辺をちゃんと考えているのかどうか、非常に気になります。




――――『保護活動』を行って、この農夫の人、もう一年になるそうなんですが――

「やった、俺はハトを守ったんだ」と拳を握り締めてる足元で、ピンクやら緑のハトが
ぐったりとしていないかどうか、非常に心配です。




2月16日 カンフー+AV=?


……ア、アホだ。
アホ過ぎます。(ほめ言葉)

情報元は『プリキュア様崇拝日記』様から、なんていうか、18才以上であれば
とりあえず見てください。
無駄に高度です。
無駄に華麗です。
無駄に
ワイヤーアクション多発してます。

なんで、AVで
空を飛び土に潜る!? と五秒に一回はツッコミを入れたくなること間違いなしです。

あー、なんというか、さながら『混ぜるな危険』を平然と混ぜてる現場に立ち会った気分でした。

なんて言っても特徴的なのが、カンフーというか戦闘シーンがあり、その後に、AVシーンに突入とかじゃ
ないんです。そのまんま、カンフーしながらAVしてます。

久々にイイ意味で弾けた、お馬鹿な映像を見させてもらいました。


2月14日 バレンタインデーvs原理主義


良くも悪くもイベント好きな日本人の心にヒットした日、バレンタイン。
よく言われてるように、チョコ交換は日本だけのものですが、かと言ってこの日、他国では冷静かと言うと必ずしもそうじゃない模様です。
チョコを送りはしないものの、『恋人同士が贈り物を交換する日』ではあるんです。
一方的なものではないですから、少しばかり様変わりしてますが、それでも『熱い日』であることには違いないわけです。日本でも、世界でも。



ところで、この日、よくマンガであるのが『バレンタイン撲滅運動』とかのネタ。
あまりにもベタな、年に一回、必ず誰かは書いてあるネタです。
ですが、あくまでこれは『マンガの中だからこそ』楽しめるもの。
実際にやったら迷惑どころの話じゃないです、
が――

現実に、起きてしまいました。
『バレンタイン撲滅運動』

場所はインド、行ったのはヒンドゥー教の原理主義者たち。集まった人数、
300人以上

まあ、一応、『インド古来の文化を守れ』とか『西洋の文化侵略を許すな』とか、そういった建前だそうですが、この人ら、
絶対にやっかみも入ってる、と思います。
大仰な建前の奥というのは、大抵、嫉妬やら何やらがあるってもんです。

彼らは16のチームに別れ、レストラン、ホテル、公園で
バレンタイン阻止を目指しました。
バレンタイン商品を扱ってる店頭のウィンドウを破壊したり、バレンタインカードを燃やしたりしたりと、やりたい放題したらしいですが、結局、あまり効果は無かったとのこと。


300人程度では、防ぎきれなかったらしいです。恋人たちの怒涛の流れを。

まあ、インドの人口は9億人以上、その内の幾割かの恋人たちを、その程度の人数では防げるはずもないです。


――――うーん、ある意味では、漢、なんでしょうか、彼ら……




2月12日 手紙


未だにドイツのヒットラー宛に手紙が届くそうです。
他の故人となってしまった有名人、それこそジョン・レノンとかシャーロック・ホームズ(実在ではないですが)だったら、まだ想像はつくんですが、果たして、ヒットラー宛に
どんな手紙が送られているんでしょうか?

少なくとも「貴方のファンだったんです!」「尊敬してます!」「
同じ時代を生きられないのが残念です!
とかいう手紙は…………あったら怖いですね。
どのみち、ほのぼのとした、牧歌的なものではないことでしょう。
『民族が』とか『血がの純潔が』とか、そういった単語が羅列してある手紙か、もしくは「テメーのせいで今でも俺たちゃ苦労してんだ! 呑気に死んでんじゃねえ!」とか、そんな感じでしょうか?
恐らく他の有名人とは一線を隔す、個性的な手紙なことでしょう。

――もっとも、もしあったら見てみたい気はします。『牧歌的でほのぼのとしたヒットラー宛の手紙』。


……まあ、第二次世界大戦が終わってから60年が経ち、『実際に体験した世代』が少なくなるにつれ、こうした問題は膨れ上がっていくのでしょう。
こうした『どこかズレた、でも、本人たちはホンキな行動』が、です。
体験を得ていない情報は、とかくトンチンカンになりがちです。

某英国のようにアウシュビッツという単語さえ知らないのは問題外ですが、それでも実際に触れないことには理解できないことが多くあります。
そして、理解できておらず、頭だけで「知ってるふり」をしてるからこそ、平気でトンデモナイことが出来ます。

それこそ某ブッシュがベトナムを実際に経験せず、戦争の怖さを肌で感じてないからこそ、あれだけの横暴が出来るように――



2月11日 イラク情勢


今更、という感が強いですし、選挙も終わり、これから和平に向かうだろうな、と誰もが思ってるイラク情勢ですが、どうも、そんな簡単なものでは無い様子です。

私は正直、甘く見てました。

日本国内、いえ、先進諸国に伝わるニュースなんて、ほとんど検閲された後の『我々にとって耳障りの良いニュース』でしかないみたいです。

こちらのサイトをご覧ください。

旧アブグレイブ刑務所で行われていた虐待行為、アレを鼻で笑い飛ばせるほどの情報があります。
虐待どころか、ここでおこなわれているのは『ただの虐殺』でしかありません。

少しだけ話題になった『イラクでの選挙率の高さ』、あれですら、故意に情報操作された結果でしかない模様です。
発表されたものより数値が低かったのはもちろん、『選挙に来ないと配給を止める』との情報が流れ――軍や政府はそんな指示は出してないことに表向きなってますが、それを言ったのは食料を配給してる人間でした――
更に言えば、大量の女性、子ども、失業者を『雇い入れ』、特定の政党に投票さえた事例さえある始末。
民主主義? なにそれ? 以前とまったく変わらないよあ? といった塩梅です。

他にも車は救急車であっても狙撃される。軍駐屯地内部で三人の自殺者が出る、なんの勧告も無く一般民家が襲撃される。
1000人のイラク人が空爆で殺害された同じ日に、4人のアメリカ人が殺されたことが大きく報道される……

数え上げればキリがありません。

アメリカが言う自由とやらは、おそらく不公平とか偏見、差別と同義なのでしょう。

そして、恐ろしいのは、これらの情報を『私たちが知ることができなかった』ことです。
現代の、21世紀になったこの世界で、です。
情報が伝わり難かった、第二次世界大戦以前の出来事ではないんです。
繰り返しますが、現代の、たった今、起きていることです。
我々が平和ボケしてる最中に、7800キロ西側では今も人が殺されてます。


……むろん上記に上げた情報は、あくまで『イラク側の立場から見たもの』、または『ネットを介した情報』ですから全てが本当、というわけでは無いと思います。(大手メディアがそうであるように)
ですが、逆に言えば『どれかは本当にあった』ことなんです――


国家の陰謀とか、情報操作とか検閲とか国家とメディアの裏取引とか、そういった単語を笑えなくなってる時代なのかもしれません。

反戦運動が巻き起こったベトナム戦争以降、戦争と情報との関りについて、アメリカはとても慎重になっています。

戦争というのは『一見正しそう』であれば、国民の支持を得られるものです。
どの戦争でも、大概は大儀名聞を掲げて始められます。「戦争は酷いことかもしれないけど、それ以上に正しいことを行うんだ!」と自国に暗示を掛けるわけです。
そして、その結果として経済が潤い、「わーい、俺の国は強いんだー」と意味の無いプライドを満たし、国間の、相対的な発言力も増すので万々歳なのです。
ですが、ここで『実はまったくもって正しくない』、もしくは『それどころか残虐極まりないものだ』となると、善良とされている我々一般国民は、掌を返すようにして『平和が大事だ』と叫びます。

おかしなことに、同じ殺人・占領でも、残虐さの度合いによって支持が不支持に変化するわけです。

このことを、恐らくアメリカはベトナム戦争で学びました。
情報は、国民感情をいとも容易く変化させることを、です。

そして、そんなことをさせない為には、大本である情報を操作するのがもってこいなのです。
『残虐なことなんてしてない』となれば、ある程度の支持を継続して得られるのですから。


そんな馬鹿な、情報操作なんて起きてるはずは無い、なんて言う人は今更いないと思います。
湾岸戦争を見てみれば一発です。
完全に報道自由だったベトナム戦争に比べ徹底的な情報管理を行い、メディアのコントロールを行いました。
石油にまみれた水鳥なんか有名です。(あれは実際にはアメリカ軍が流した石油)
9.11でも、あのテロを喜んでる人の映像が流されましたね。(どういうわけか91年の映像と全く同じだった)

更に言えば、『イラク国内での軍事活動の映像』がほとんど出ないのは、どうしてなんでしょ?
あっても大抵はアルジャジーラ放送経由でしか、流されてないように見えます。

あれだけ騒がれていた自衛隊の駐屯すら、ほとんどTV情報が流れてきません。




イラク戦争から一年以上経った現在、『戦争の酷さが実感できる映像』を、どなたか見た覚えはありますか?





2月10日 絶滅危惧電子機器!?


えーと、なんと言っていいものやら。
アメリカの電子フロンティア財団なるところが、この度、『絶滅が危惧される電子機器』のリストを発表しました。

いやいや、野生動物じゃないんだから、保護する必要もないだろうに。競争で負けたのを、なんでいまさら保護するん?
と思って詳しく見てみると、どうやら少しばかり事情が違った様子。

この財団、意外と(と言っては失礼ですが)真面目でした。

『インターネット上での表現の自由を保護する』のが目的の財団で、日本でも問題になってる『ファイル共有ソフト』の合法化を推し進めたり、同時多発テロ以降に『検閲』され、廃止に追い込まれたサイトをリストアップしたり、ハイパーリンクやらポップアップウィンドウの特許を振りかざして「金よこせー」と騒いでる人たちと対決したりと、広範囲に活躍してます。

今回のこれも、映画やら音楽業界の圧力によって消滅しかねない機器を、事前にリストアップしておこうという目的らしいです。
絶滅危惧、というよりも、保護・牽制といった意味合いが強いです。

『絶滅』してしまった例として、DVDの暗号を外して自由にコピーできるソフトを上げてますし……

正直、『とにかく情報共有化を推し進めよう』という姿勢には、ちょっとばかり疑問を感じたりもするんですが、首尾一貫してるという点は好感が持てます。

ただ、まあ、絶滅を回避した例として、ソニーのベータを上げるのはどうかともの凄い思うんですが……
確かに、『法律的につぶされる』のを回避できたみたいですが、こっちは市場競争でつぶされてます。
おいおい。


2月7日 春季限定いちごタルト事件(少しネタバレ)


本のレヴューです。
昨日、読んだばかりのほやほやです。

いわゆる推理モノ、ではあるんですが、タイトルからして分かるとおり、内容としては軽めなお話。
人も死にませんし、事件もまあ、そう大きなものは起こりません。

ただ、やっぱり面白いんです。

地味目な雰囲気が漂いますし、ライトノベルよりの内容ではあるんですが、それでもやっぱり読んでいて心地よいです。

私は、プロローグに当たる部分を読んで、即、購入を決定しました。

名探偵と呼ばれる人種、いや、むしろ種族と言っていいほど人間離れした彼らに対し、誰もが感じるある嫌悪感を、まず率直に表明してます。
夢の中、やんやと喝采を浴びてる最中、ひとりがひょいと出てきて『あること』を言うんです。ここでは書きませんが、「うん、確かに」と、私は思わず同意しました。
仮に、名探偵なる種族が傍にいたら、こう思わざるを得ないだろうなあ、と。

そうして、次の章で、主人公は決心してます。
「完全なる小市民めざそう!」と。

互恵関係にある少女(恋人では無い)と一緒に、彼らは小市民になろうと努力します。
『小市民的』であろうと、互いを励まし合います。
本人たちは真面目なんですが、読んでて「いやいやそれは違うだろ」と思わずにはいられなかったです。
まあ、ですが、元がどうにも特殊である彼らは、だんだんと化けの皮が剥がれ――いやいや、決心が崩れそうになり……
といった感じでしょうか。


非常に軽妙な、コミカルなタッチなんですが、主人公たちが魅力的なのと、全体を漂う雰囲気が明るく、それでいてしっかりしているので、読んでいて飽きませんでした。

また形式としては連作短編なので、一話一話がさくっと読めます
謎としても軽いものが主です。
オススメは牛乳とココアにまつわる謎。
私は見事に盲点を突かれました。

アンチ名探偵というか、目指せ『脱名探偵』というか、ともかく、軽くて面白い話が好みなら、読んで損は無いと思います。



2月5日 ミシュランの評価


おそらく、情報自体は大分前にもう流れたんでしょうけど、あのレストラン評価で有名なミシュランって、実は
いい加減な評価しかしてなかったんですね。

けっこう前から「どんな評価基準なのか謎だ」とは良く言われてたらしいですが、本当に適当なモンだとは思いませんでした。
なにせ、このミシュランさん、
開店前の店を評価しちゃったりしてます。
大失態もいいとこです。

裏ミシュランとかいう、元覆面調査員が執筆した暴露本も出されたようで、しがらみで星の評価が下げられないとか、一割程度しか実際には調査してなかったなど、本当に
厳正な評価なんてしてなかったんだなあ、と彼方を見つめて呆然としてしまいます。

この評価が上がって店の利益が倍増したとか、一つ星が下がって店をたたむ事になったとか、いろんな逸話にことかかなかった伝説の本ですから、これからどうなるのかなあ、と少しばかり興味があります。
色々な意味で。


うーん、でも日本だと、特にラーメン特集の記事なんかだと、他の雑誌だけを参考に
一回も食いに行かずに記事を書いた、なんて話は聞いたことあるんですが、まさが、似たようなことをやっていたとは知りませんでした……

確かに、コストパフォーマンスやら人手を考えると、ポコポコポコポコそこらじゅうに有り、また今も増え続ける飲食店すべての評価なんて、よっぽど好きな人じゃない限り行けないんでしょうし、その時間も無いんでしょうけど……

この評価で、首つった人とか実際にいるわけで、ミシュランの罪は重いなあ、と考えます。


――実際に自分の舌で確認するまでは、ガイドブックの評価なんてできない、ってことなんですかね。



2月3日 強盗?


おー、ようやく風邪が治りつつあります。
いまだ咳は出てるんですが……

しかも、これからは花粉症シーズンが到来するかという時期、更に言えば例年よりも酷い(確か36倍とか?)。
いやもう思わず、
平穏な日々はもう来ないのか! やっぱり自然は僕らの敵だ! と思わず叫びたくなる今日このごろです。

ともあれ最近やってなかったニュースネタ。

とあるスウェーデンの銀行で、銀行強盗が起きました。
それだけならよくある、というと失礼ですが、まあ、大して珍しくも無い話です。

ですが、ちょっと違うのが、捜査主任として現場検証をしたのが
襲ったのと同一人物だってことです。
……よく、冷静になって考えましょう。
銀行強盗と、捜査主任が同じ人なんです。

強盗=警察。

完全犯罪じゃん、と誰もが思います。
実際、強盗した一時間後に現場検証とかしてるんです。
心臓バックバクながらも、内心では小躍りしてたんじゃないでしょうか、この人。

なにせ証拠隠し放題、捜査のミスリードし放題、指紋とかあっても怪しまれない、監視カメラだって
ちょっとしたミスで消してしまうことも可能かもです。
まさに完璧な自作自演。
完全な盲点、セーフティーゾーンにいるわけです。

一時間前に凶器で脅した行員相手に、今度は「どんなヤツだったんだ! 特徴は!?」と尋問したりして。
非常に『何かモノ言いたげな視線』を、警察圧力で押しつぶしたりしたのかも。

いやはや、こんな映画みたいなこと、現実に起こりえるんだなあ、と関心しました。


――ですが、映画のように全てが上手くいかないのが現実。
実際、全てが完璧なら私なんかが知るはずも無く。無事に(?)後日、逮捕されました。

犯罪露見のキッカケとなったのは
金使いの荒さ、盗んだ金で新車とか買っちゃったんです。
それも300万円オーバー。
そりゃあ、周囲から「なんでなん?」と怪しまずにはいられないですよねえ。


犯罪に限らずそうなんでしょうけど、物事は行うことよりも、その事後の方が大変、ということなんでしょう。




1月19日 風邪


実は引き込んでます、風邪。
身体が非常に重いです。
歳を一挙に50くらい加齢したら、こうなるんじゃないかと思えるほどです。
普通に歩くだけでも一苦労。
坂道が、これほど憎いと思ったのは初めてかもしれません。
お陰で以前に見た、『ハウルの動く城』を、リアルに追体験できました。
身体が自分の思い通りにならないというのは、想像以上に大変なことです。
皆さん、注意しましょう。
よく言われることですが、やっぱ『人間、身体が資本』です。

また、だるい、食欲が無い、肩が寒い、熱っぽいなどの諸症状があるのは当たり前なんですが、今回のこの風邪には、一つ困ったことがあります。

それは、何故か『肩こりを併発』したんです。

そりゃあもう、バキバキに凝ってます。
肩の一部が木化したのかと思えるほど。
小型の子泣き爺が取り付いてる様が幻視できるほど、です。

普段、そんなに肩こりが酷い方ではないので、この仕打ちにはびっくりしました。
いや、そもそも、風邪が原因で肩こりになっているのかは分からないんですが、とにかく酷い。
『肩こりが酷すぎで眠れない』なんて経験、はじめてしましたよ。
お陰で肩たたきから手を離せません。
暇があれば肩を揉んだり、回したりもしてます。
……改善の傾向は、一向にありませんが…………

また、この肩こりの痛さというのが、非常に嫌な、内に籠った陰湿な痛さです。
両肩を不法占拠された地主の気分、でしょうか。
明らかに、自分の一部とは思えないほど凝固してます。
持ち主への返還を是非主張したい。

でなければ、両肩を切開して凝っている部分を取り出し、窓から思いっきり放り投げたいです。



……えーと、まあ、というわけで、ピッ○エレキバンの購入しようかどうか、真剣に悩んでいる私を誰にも止めることができないわけで――――(涙




1月8日 髪曜日


どうも最近、床屋に行きません。
大抵は駅前にある1000円カットで整えてもらいます。

安くて早くて清潔で、と良点は数多いんですが、一つだけ欠点が。

それは、どうしても『荒い』んです。
ポリゴンで言うと、非常にカクカクした印象でしょうか。
初期3Dゲーム的な大雑把感です。
一番最初にカットしてもらった時、本気で「もう一回、1000円出してやってもらおうか」と考えましたし。
もっとも、慣れてしまえば「こんなもんか」と鷹揚にいられるんですが、それでもどこか不満があることも確か。

このことを再認識したのは、昨日、カットしてもらってからです。
いつもの1000円カットの店に行くと、明らかに空気が違う人が一人いました。
まず、年齢が違います。
若い人だらけの中で、小皺もハッキリと、明らかに店の平均年齢を上げている容姿。
一言で言えば『おじさん』と呼ばれる年代の人でした。
たまたまその人に当たったんですが、コートを掛けるのは自分でせねばならず、挨拶は中途半端、対応もどこかぎこちなくて、とても不安でした。
正直、「会社をリストラされた人がやっている?」と思ったんです。
ですが、カットしてもらう段になって、評価はまったくもって一変しました。

上手い、んです。
非常に『慣れてる』印象でした。

髪を纏める手腕も、ハサミを操る動きも丁寧で心地よく、 なんだかとても新鮮でした。
安さが売りの回転寿司で、予想外に美味い一カンと出会った驚き、でしょうか?
偽物だらけの中に、ぽつんと『ホンモノ』がある印象です。

「ああ、床屋に来てる〜」という感じがもの凄くしました。

きっと、元はどこか別に店を構えていた人なのでしょう。
それが、巡り巡ってこんな所で(と言ったら失礼ですが)働いている……
「うーん、これだけ上手い人が、同じ給料、同じ値段でしてもらって良いのだろうか」と思いました。
後ろめたいような、得したような感覚です。

もっとも、丁寧な分、時間もかかり(30分弱)、果たして来月もあの店にいるのかどうか、非常に不安だったりします。
指名制などでは無いので、『しっかりマニュアル通りにやっているかどうか』が評価基準になるのでしょうし、客数・回転率も調査するでしょう。まったく……



これはきっと、ミヒャエル・エンデの『モモ』の世界です。
効率、採算を重視する結果、『大切な何か』が失われる、という。






1月1日 おおきく振りかぶって



名作です。
新年、明けましておめでとうございます、とか、本年もよろしく、なんて季節の挨拶をスミに追いやる勢いで名作です。

一読して面白く、再読してなお面白い、三度目でも一向に色あせない、そんな素晴らしい『野球マンガ』です。

方向性としては、あさのあつこ著、
バッテリーに近いものがあるかもしれません。
しっかりとした構成、リアルな人間模様、ヒーロー・超人不在の等身大の物語という点で、です。
印象も構成もまるで違うのに、方向性が似ていると思いました。
共にしっかりとした『芯』の入った、人間の織り成す物語です。

たぶん、野球が好きな人ほど、このマンガを好きになれるのでは、と思います。
野球嫌いの人間が、「おお、野球って面白そう!」と感じたくらいですから。
ただの投手戦――魔球やらスーパーボールの投げ合いではなく、『試合展開』として野球マンガを面白いと思ったのは、はじめてかもしれません。
今まで読んだ中ではピカイチです。

なにせ、主人公であるピッチャー、この人間がまず
弱いです。
他に類を見ないほどのオドオドしてます。
常に震える小動物を連想していただけると、近いイメージになるかと。
そのため、最初は読んでてイラつきます。間違いなく。

それなのに、『正確無比だけれど遅い球』だけを武器にマウンドで戦う姿を見続けていると、
いつの間にか応援している自分がいたりもするんです。

判官びいき、というわけではないです、主人公である三橋という人間を、だんだんと理解できて行くんです。
『なぜオドオドしているのか』ということ、投げることへの不安、そして、にもかかわらず『ピッチャーをやりたい』と思ってしまう深い部分での強さが、(明らかな形ではないけれど)見えてきます。
『ああ、こいつはこういう人間なんだ』と分かってくるわけです。

また、その相方であるキャッチャー・阿部もいい味だしてます。
三橋とは対照的な唯我独尊、「俺のサインに首を振るな」と言い切ってしまう傲慢さ。
こちらは滅多に吠えない大型犬、でしょうか?

この二人の対比と交流が、また物語をより面白くしています。

他にも『漢らし過ぎる女監督』とか『運動生理学のウンチクを滔々と述べる数学教師』とか、様々なキャラクターが登場しているのですが、一番面白い、というか、特徴的なのが、普通こういった野球マンガにありがちな『根性論』が一切登場せず、ただひたすらに『チームワークの構築していく様』と『科学的な視座』とに貫かれている点でしょう。

個性的な人間同士が、完全に信頼し合うこと無くとも、『チームの中でするべきこと』を模索していく様子や、運動生理学的にこうした方が良いと『練習時間外で』ワンポイントアドバイス的に教える様子は、リアルだと感じ、また、『納得』できます。

打っても打たれても、そこに確かな『説得力』がある野球マンガなんて、なかなか無いと思います。

噛めば噛むほど、読めば読むほど面白くなってくる、この野球マンガ……

おすすめです!